口腔機能向上加算の算定利用者割合を判断する方法

口腔機能向上加算の対象者に、施設利用者の何割という一律の正解はありません。算定人数が適切かは、利用者の状態だけでなく、全利用者を確認できた割合、対象候補の評価、説明・同意、提供・記録、約3か月ごとの再評価を分けて判断します。

この記事について施設で検討・実践するための一般的なノウハウを解説しています。記事に記載した業務のすべてをReliOralが代行・支援するものではありません。

施設スタッフが口腔機能向上加算の対象者割合と業務工程を検討している様子

この記事のポイント

  • 全国一律の対象者割合や理想値はない
  • 事業所の算定率と施設内利用者カバー率は別の指標
  • 人数ではなく各段階の通過率と理由を確認する
目次

口腔機能向上加算に「利用者の何割」という基準はありません

算定要件は利用者ごとの口腔機能とサービスの必要性を確認するもので、施設全体の対象者割合を定めていません。年齢構成、要介護度、疾患、食事形態、利用頻度、本人の意向などによって対象者数は変わります。

出典:算定に関する留意事項通知

2つの「割合」を混同しないようにします

算定事業所割合は、調査対象のうち加算を算定した事業所の割合です。施設内利用者カバー率は、施設の実利用者のうち算定した利用者の割合です。分母が異なるため、過去の事業所算定実績を、自施設の理想的な対象者割合として使うことはできません。

指標計算の考え方分かること
算定事業所割合算定事業所数 ÷ 調査対象事業所数制度を活用している事業所の広がり
施設内利用者カバー率算定利用者数 ÷ 対象期間の実利用者数施設内で支援が届いた範囲

算定人数は5つの段階に分けて確認します

最終的な人数だけではなく、その前段階を分けると、対象者が少ないのか、運用途中で止まっているのかを判断しやすくなります。

  1. 確認できた割合全利用者のうち、定めた時期にスクリーニングできた人数。
  2. 候補となった割合口腔機能低下または低下のおそれを確認した人数。
  3. 必要性を判断した割合専門職を中心に個別サービスが必要と判断した人数。
  4. 開始できた割合説明・同意、計画を経てサービスを開始した人数。
  5. 継続を判断できた割合約3か月ごとの評価を行い、継続・変更・終了を判断した人数。

対象外・辞退・未実施の理由を分けます

「未算定」を一つにまとめると、対策を誤ります。対象要件に該当しない、医療対応を優先する、本人が希望しない、説明待ち、計画作成待ち、提供枠不足、記録未完了など、理由別に人数を整理します。

割合を目標にするときの注意点

割合を職員評価やノルマにすると、個別の必要性より数字が優先されるおそれがあります。目標を置く場合は「全利用者を定期確認できた割合」「再評価を期限内に完了した割合」など、適切なプロセスを測る指標を中心にします。

同じ施設でも分母と期間をそろえて比較します

登録定員、延べ利用者数、実利用者数を混ぜると、月ごとの割合を正しく比較できません。施設内利用者カバー率は、対象期間に一度でも利用した実利用者数など、施設内で定義した分母を固定します。短期利用者や利用開始直後の人をどう扱うかも注記し、数字だけが独り歩きしないようにします。

確認項目数え方の例注意点
実利用者数対象月に利用実績がある実人数延べ人数と混同しない
確認済み人数定めたスクリーニングを完了した実人数確認日の有効期間を決める
算定人数対象月に実際に加算を算定した実人数提供開始待ちを分ける

月次と四半期で見る内容を変えます

月次では未確認、説明待ち、提供待ち、再評価期限を確認します。四半期では、対象外理由の傾向、本人・家族の意向、専門職の稼働時間、記録不備、サービス終了後の支援を振り返ります。一時的な人数の増減に反応するのではなく、必要な利用者を継続して確認できる仕組みになっているかを判断します。

算定割合だけで判断しないための確認表

算定割合は結果の一つです。割合の高低だけを見るのではなく、全利用者を確認できたか、対象外・辞退・提供待ちを理由別に把握できているかを順に確認します。

算定割合だけで判断しないための確認表
確認指標確認する視点
全利用者への確認実施数実利用者のうち口腔状態を確認できた人数
対象候補者数個別評価へつないだ人数
対象外人数対象外とした理由も分類する
本人・家族の辞退人数説明内容と意向を記録する
提供待ち人数計画、同意、人員、日程のどこで待っているか
継続評価待ち人数評価予定日を過ぎていないか
実際の算定人数提供実績と請求が一致する人数

同じ期間・同じ分母で比較し、割合を職員のノルマにしないでください。

制度資料:訪問通所サービス等の算定に関する留意事項通知

まとめ

適正人数は、個別評価と運用データを組み合わせて判断する

割合は結果であり、先に目標を置くものではありません。スクリーニングを受けた人数から再評価までの各段階を確認し、対象外・辞退・未実施の理由を分けることが、施設に合う算定人数を考える出発点です。

記事執筆者 ReliOral 富田

執筆富田株式会社ReliOral 代表/歯科衛生士

介護施設への訪問口腔ケアと、口腔機能向上加算の導入・運用支援に携わっています。厚生労働省の一次資料と現場での運用を踏まえ、施設担当者が実務で参照しやすい情報を発信しています。

本記事は公開日時点の厚生労働省資料を基にした一般的な情報です。算定可否、届出、必要書類の取扱いはサービス種別や指定権者によって異なる場合があります。実際の算定前に、最新の告示・通知と所在地の指定権者へご確認ください。

参考資料

施設ごとの適正人数を、利用者構成と運用の両面から整理します

ReliOralは、一律の目標割合を当てはめず、候補者の抽出状況、個別の必要性、本人の意向、提供体制を確認します。そのうえで、必要な利用者へ支援が届く運用を施設と一緒に検討します。

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対象者の割合・算定人数についてよくある質問

口腔機能向上加算の理想的な対象者割合はありますか?

全国一律の理想値はありません。利用者構成、口腔機能の状態、本人の意向、専門職体制によって異なります。

対象者割合を施設目標にしてもよいですか?

数字だけをノルマにすることは適切ではありません。全利用者の定期確認率や再評価完了率など、適切な支援プロセスを測る指標と合わせて確認します。

算定人数が適切か、何から確認しますか?

実利用者数、スクリーニング済み、候補者、必要性を判断した人数、同意・計画、提供開始、再評価完了を段階別に確認します。

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