口腔機能向上加算の制度と算定要件を確認する方法

口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、または低下のおそれがある利用者へ個別サービスを行い、専門職配置、対象者選定、計画・同意、実施、記録、評価などの算定要件を満たした場合に算定できる加算です。

この記事について施設で検討・実践するための一般的なノウハウを解説しています。記事に記載した業務のすべてをReliOralが代行・支援するものではありません。

介護施設で専門職が利用者の口腔状態を確認している様子

この記事のポイント

  • 通所介護などの通所系サービスが主な対象
  • 通所介護は(Ⅰ)150単位、(Ⅱ)160単位/回
  • 専門職の配置、対象者選定、計画、同意、実施、記録、評価が必要
目次

口腔機能向上加算とは

利用者の口腔機能の向上を目的に、個別の口腔清掃の指導・実施、または摂食・嚥下機能に関する訓練の指導・実施を行う取り組みを介護報酬で評価する制度です。単に集団で体操を行うだけではなく、対象者ごとの課題を把握し、計画に沿って提供します。

出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準

対象となる施設・サービス

主な対象は、通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーションなどです。介護予防サービスや市町村の総合事業では、区分名、単位数、届出方法が異なる場合があります。自施設のサービスコードと指定権者の案内を確認してください。

単位数と算定回数

通所介護の口腔機能向上加算は、(Ⅰ)150単位、(Ⅱ)160単位を1回として算定します。算定回数や継続条件は要介護・要支援、サービス種別で異なるため、区分ごとの確認が必要です。

区分通所介護の単位数主な違い
(Ⅰ)150単位/回通常の計画・実施・評価
(Ⅱ)160単位/回LIFEへの情報提出と活用を含む

通所介護では原則として3か月以内、月2回を限度に算定します。約3か月ごとの評価で、低下が認められる、または中止により低下のおそれがあり、継続による向上・維持が期待できる場合は継続できます。介護予防では月単位の取扱いとなるため、要介護と要支援を同じ計算にしないことが重要です。

出典:算定に関する留意事項通知

対象利用者の考え方

認定調査票の「嚥下・食事摂取・口腔清潔」、基本チェックリストの口腔関連3項目、またはその他の評価から、口腔機能が低下している、もしくは低下のおそれがあり、サービスが必要と認められる人を整理します。医療対応が必要な状態では、ケアマネジャーを通じた主治医・歯科医師への情報提供や受診勧奨も検討します。

口腔機能向上加算の主な算定要件

口腔機能向上加算の算定要件は、専門職の配置に加え、対象者の選定、計画、同意、個別サービス、記録、定期評価を一連の業務として整えることです。

  1. 体制を確認言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員を1名以上配置できるか確認します。
  2. 対象者を整理利用開始時の口腔状態と選定根拠を記録します。
  3. 計画と同意専門職を中心に多職種で計画を作り、本人または家族へ説明して同意を得ます。
  4. 個別に実施・記録計画に沿ってサービスを行い、実施内容と状態を記録します。
  5. 約3か月ごとに評価結果を関係者へ共有し、終了・継続・計画変更を判断します。

算定前に確認したいこと

算定を始める前に、対象サービス、専門職体制、対象者の選定根拠、計画・記録、LIFEへの対応を施設内で確認しておきます。

  • サービス種別ごとの単位数・回数・届出先
  • 専門職の勤務実態と役割分担
  • 対象者の選定根拠と歯科受診状況
  • 計画、同意、実施記録、定期評価の書式
  • (Ⅱ)を選ぶ場合のLIFE運用

口腔機能向上加算の算定準備を5段階で確認

算定準備は、体制、対象者、計画、提供、評価を順につなげます。各段階で担当者と次へ進む条件を決めると、書類だけを先に増やさずに済みます。

口腔機能向上加算の算定準備を5段階で確認
段階確認すること施設内の担当者例次の工程へ進む条件
1. 体制確認対象サービス、届出、専門職の勤務実態を確認管理者・請求担当算定区分と提供体制を説明できる
2. 対象者の確認候補抽出、個別評価、医療対応の切り分け専門職・介護職員サービスの必要性と判断理由を記録できる
3. 計画・同意課題、目標、内容、頻度、説明と本人の意向専門職を中心とした多職種同意済みの計画を関係職員が共有できる
4. 提供・記録個別サービス、安全確認、実施内容と反応実施担当・記録確認者計画と実施記録、請求回数が一致する
5. 評価・継続判断おおむね3か月ごとの評価と情報共有専門職・管理者継続、変更、終了と次回計画を決められる

担当者は施設の体制に応じた例です。制度上必要な職種と最終判断は、サービス種別ごとの現行要件で確認してください。

制度資料:訪問通所サービス等の算定に関する留意事項通知別紙6-4 口腔機能向上サービスに関する計画書

まとめ

加算は「算定できるか」だけでなく、続けられる運用で考える

ReliOralでは、口腔機能向上加算の導入で重要なのは、要件を一度満たすことではなく、対象者の評価から記録・モニタリングまでを日常業務として続けられることだと考えています。制度と現場の両方を確認し、施設に合う小さな運用から整えることが継続につながります。

記事執筆者 ReliOral 富田

執筆富田株式会社ReliOral 代表/歯科衛生士

介護施設への訪問口腔ケアと、口腔機能向上加算の導入・運用支援に携わっています。厚生労働省の一次資料と現場での運用を踏まえ、施設担当者が実務で参照しやすい情報を発信しています。

本記事は公開日時点の厚生労働省資料を基にした一般的な情報です。算定可否、届出、必要書類の取扱いはサービス種別や指定権者によって異なる場合があります。実際の算定前に、最新の告示・通知と所在地の指定権者へご確認ください。

参考資料

算定開始までの流れを、施設に合わせて整えます

制度の確認だけでなく、対象者の抽出、計画、実施、記録、モニタリングを施設の業務へ組み込み、継続して算定できる運用づくりを支援します。

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口腔機能向上加算についてよくある質問

口腔機能向上加算の主な算定要件は何ですか?

対象サービスで必要な届出を行い、言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員のいずれかを配置します。対象者を選定し、多職種で計画を作成して説明・同意を得たうえで、個別サービス、実施記録、おおむね3か月ごとの評価を行います。(Ⅱ)ではLIFEへの提出と活用も必要です。

口腔機能向上加算はどのような利用者が対象ですか?

認定調査票、基本チェックリスト、その他の口腔評価から口腔機能の低下または低下のおそれが確認され、個別の口腔機能向上サービスが必要と認められる利用者が対象です。該当項目だけで自動的に対象になるわけではありません。

通所介護では何回まで算定できますか?

通所介護では原則として3か月以内の期間に、月2回を限度として算定します。約3か月ごとの評価で継続の必要性と効果が期待できると判断した場合は、引き続きサービスを提供できます。

要支援者も口腔機能向上加算の対象になりますか?

介護予防通所リハビリテーションや市町村の総合事業などで対象となる場合があります。ただし、要介護者の通所介護とは区分名、算定単位、回数の考え方が異なるため、サービス種別と指定権者の基準を確認してください。

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