口腔機能向上加算を利用者・家族へ分かりやすく説明する方法

利用者・家族への説明では、加算名や費用だけでなく、「食べる」「話す」「口を清潔に保つ」といった本人の生活にどう関係する支援かを具体的に伝えます。サービス内容、期間、費用、評価方法を説明し、本人の意向を確認して記録します。

この記事について施設で検討・実践するための一般的なノウハウを解説しています。記事に記載した業務のすべてをReliOralが代行・支援するものではありません。

施設スタッフが利用者と家族へ口腔機能向上サービスを説明している様子

この記事のポイント

  • 制度名より本人の生活上の価値から伝える
  • 内容・頻度・費用・評価を具体的に説明する
  • 拒否や保留を尊重し、説明経過と意向を記録する
目次

説明は加算名ではなく、本人の生活上の課題から始めます

「口腔機能向上加算を算定します」だけでは、利用者にとって何が変わるか分かりません。食事中のむせ、噛みにくさ、口の乾燥、会話のしにくさ、清潔保持など、評価で確認した本人の課題と支援の目的を結びつけます。

説明する内容を施設内でそろえます

説明担当者によって内容が変わらないよう、最低限伝える項目を決めます。専門用語を避け、本人・家族が質問できる時間を確保します。

  • 現在確認できている口腔機能の課題
  • 行うサービスの内容、頻度、担当者
  • 期待する変化と、効果を保証するものではないこと
  • 自己負担を含む費用
  • 評価の時期と、継続・変更・終了の考え方
  • 個人情報や関係者への情報提供

出典:計画の説明・同意に関する留意事項通知

説明文は利用者ごとに調整します

汎用例は「お口の状態を確認したところ、食事や会話に関係する機能を保つための個別支援が必要と考えています。計画を一緒に確認し、定期的に状態を評価します」のように、状態・支援・評価を短く伝えます。実際には本人の課題と計画内容へ置き換えます。

同意しない・迷っている意向も尊重します

拒否や保留があった場合、繰り返し強く勧めるのではなく、理由や不安を確認します。本人の意向、家族への説明、質問への回答、再説明の希望、日常ケアで行う対応を記録します。

説明と同意の記録を計画へつなげます

説明日、説明者、説明先、内容、費用、同意・保留・拒否、質問事項を残します。同意書の有無だけでなく、計画内容を理解し意向を確認した経過が追えるようにします。

説明前に職員が確認することを決めます

対象候補となった根拠、本人の生活上の困りごと、認知・聴覚・言語面の配慮、家族との連絡方法、歯科受診状況、自己負担の説明方法を確認します。評価内容と計画案が曖昧なまま同意だけを求めず、質問に答えられない項目は専門職へ確認してから説明します。

本人が理解しやすい方法を選びます

短い文、写真や実物、実施場所の確認など、本人に合う方法を使います。一度にすべてを説明しにくい場合は、目的、当日の内容、費用、やめたいときの伝え方を優先し、家族や支援者とも情報を共有します。意思表示を急がせず、表情や反応も記録します。

よくある不安には具体的に答えます

不安・質問説明の考え方
痛いことをしますか予定する内容と中止基準を伝え、治療との違いを説明する
毎回費用がかかりますか区分、回数、自己負担の見込みを施設の請求方法に沿って説明する
効果はありますか目標と評価方法を示し、効果を保証する表現は避ける
断れますか本人の意向を尊重し、保留・中止を相談できることを伝える

開始後も意向を確認します

初回同意があっても、体調や負担感は変わります。提供前後の反応、継続希望、内容変更の希望を確認し、計画の見直しへ反映します。家族へは結果だけでなく、本人の反応と次の評価時期を伝えます。

制度名や算定を先に説明せず、本人が困っている食事、会話、口腔清潔から目的を共有します。以下は強制的な同意を避けるための会話例です。

制度名から説明しない
「最近、お茶でむせることが増えていませんか。食べたり話したりする力を保つために、お口の状態を一緒に確認できます。」

加算名より本人の生活上の困りごとを入口にする

生活上の価値から説明する
「お口を清潔にして舌や頬を動かす練習を、今の状態に合わせて行います。無理のない内容を一緒に決めます。」

内容、目的、個別性を具体的に伝える

本人が希望しない
「今日は行わず、気になることが変わったときに改めてご相談してもよいでしょうか。」

拒否理由と説明経過を記録し、無理に進めない

家族が費用を気にする
「介護保険の加算として自己負担が生じます。区分と回数を確認し、見込み額をご説明してから決めていただけます。」

費用を曖昧にせず、同意前に説明する

歯科受診が必要
「訓練より先に、義歯の痛みを歯科で確認する方がよい状態です。受診後に施設でできる支援を改めて考えます。」

介護サービスと歯科治療の役割を分ける

制度資料:訪問通所サービス等の算定に関する留意事項通知別紙6-4 口腔機能向上サービスに関する計画書

まとめ

同意につながる説明は、本人にとっての意味を具体的にする

「加算を取るため」ではなく、口腔状態のどの課題に、どのような支援を行い、どう確認するのかを伝えます。費用を含む必要事項を説明し、本人・家族が質問や保留を選べる状態を作ることが大切です。

記事執筆者 ReliOral 富田

執筆富田株式会社ReliOral 代表/歯科衛生士

介護施設への訪問口腔ケアと、口腔機能向上加算の導入・運用支援に携わっています。厚生労働省の一次資料と現場での運用を踏まえ、施設担当者が実務で参照しやすい情報を発信しています。

本記事は公開日時点の厚生労働省資料を基にした一般的な情報です。算定可否、届出、必要書類の取扱いはサービス種別や指定権者によって異なる場合があります。実際の算定前に、最新の告示・通知と所在地の指定権者へご確認ください。

参考資料

利用者の生活に結びつく説明と、職員が使える説明手順を整えます

施設で行うサービス内容と費用を分かりやすく整理し、職員によって説明が大きく変わらない資料と記録方法を作ります。本人の意向を尊重し、無理な勧誘にならない運用を支援します。

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利用者・家族への説明と同意についてよくある質問

利用者・家族には何を説明しますか?

本人の口腔課題、サービスの目的・内容・頻度・担当、費用、評価時期、個人情報の取扱いを分かりやすく説明します。

家族の同意だけで始められますか?

本人の意思確認を基本とし、意思決定の状況に応じて家族等へ説明します。施設の同意手順と個別状況に沿って記録してください。

本人が拒否した場合はどうしますか?

無理に勧めず、理由や不安を確認します。意向と説明経過を記録し、必要に応じて日常ケアや再説明の機会を検討します。

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