口腔機能向上加算の対象者を選ぶ方法とスクリーニングのポイント

口腔機能向上加算の対象者チェックリストでは、認定調査票、基本チェックリスト、その他の口腔評価から候補を抽出します。その後、サービスが必要かを個別に判断するため、チェックだけで自動的に算定対象になるわけではありません。

この記事について施設で検討・実践するための一般的なノウハウを解説しています。記事に記載した業務のすべてをReliOralが代行・支援するものではありません。

施設スタッフが利用者の状況を確認し対象者を整理している様子

この記事のポイント

  • 認定調査票は嚥下・食事摂取・口腔清潔を確認
  • 基本チェックリストは口腔関連3項目中2項目以上が目安
  • 医療対応が必要な場合は受診勧奨・情報連携を優先
目次

口腔機能向上加算の対象者チェックリスト

口腔機能向上加算の対象者は、認定調査票、基本チェックリスト、その他の口腔評価を入口として候補を抽出し、個別サービスの必要性を判断します。

確認方法候補となる考え方
認定調査票嚥下・食事摂取・口腔清潔のいずれかが「1」以外
基本チェックリスト口腔機能に関する13・14・15のうち2項目以上が「1」
その他の評価口腔機能が低下している、または低下のおそれがある

いずれかに該当し、個別サービスが必要と認められることが前提です。出典:訪問通所サービス等の算定に関する留意事項通知

施設で行う抽出の流れ

施設では、候補者の抽出から口腔状態の評価、必要性の判断、医療との切り分け、選定根拠の記録までを順に行います。

  1. 候補者を広く抽出認定調査票、基本チェックリスト、食事・口腔ケア時の観察を確認します。
  2. 口腔状態を評価歯・義歯、清潔、乾燥、咀嚼、嚥下、食事形態などを所定様式に沿って確認します。
  3. 必要性を判断本人の希望、生活上の課題、サービスで改善・維持を目指せる内容を整理します。
  4. 医療との切り分け痛み、出血、急な嚥下状態の変化などは歯科・医科への相談を優先します。
  5. 選定根拠を残す何を根拠に対象としたか、説明・同意の経過まで記録します。

基本チェックリストだけで決めない

チェックリストは候補者抽出に有用ですが、最終判断は口腔状態やサービスの必要性を踏まえて行います。本人の拒否、治療を優先すべき状態、サービス内容と課題が対応しない場合などは、算定対象としない判断もあり得ます。

歯科治療との重複を確認する

歯科医療を受診中の場合は、摂食機能療法の算定状況や、介護サービスとして行う内容を確認します。医療の治療と介護の個別サービスを混同せず、必要に応じてケアマネジャーを通じて主治医・歯科医師へ情報提供します。

抽出時に残したい記録

対象者を選定した理由を説明できるよう、確認日、口腔状態、歯科受診状況、本人・家族の意向、対象可否の判断を記録します。

  • 候補となった根拠と確認日
  • 口腔の健康状態と生活上の困りごと
  • 歯科受診・摂食機能療法の状況
  • 本人・家族の意向
  • 対象・対象外とした判断、その後の対応

対象候補者を確認するときの記録項目

候補者の抽出と最終判断を分け、確認した事実と判断理由を残します。以下は個人情報を含まない架空の記録例です。

対象候補者を確認するときの記録項目
記録項目架空の記入例確認の視点
利用者名利用者A(架空)共有時は施設の管理方法に従う
確認日2026年8月21日(例)次回確認日も設定する
口腔清潔舌苔と義歯の汚れを確認日常ケアで改善できる点を分ける
食事・嚥下水分時にむせが増えた医療評価を優先する兆候がないか
発音・咀嚼硬い食品を避けることが増えた本人の食べにくさも確認する
本人・家族の困りごと食事時間が長くなった生活上の希望を言葉で残す
医療・歯科受診義歯の痛みについて歯科確認予定介護サービスとの役割を分ける
専門職確認歯科衛生士が口腔状態を再確認確認者と確認日を残す
対象・保留・対象外保留一度のチェックだけで自動判定しない
判断理由歯科受診結果と本人意向を確認後に再判定次に誰が何を確認するかまで記録する

制度資料:訪問通所サービス等の算定に関する留意事項通知別紙5-1 口腔・栄養スクリーニング様式

まとめ

候補者の抽出と個別評価を分けて考える

チェックリストは対象となり得る人を見落とさないための入口です。ReliOralでは、候補者を広く抽出したうえで、本人の状態や希望、医療対応の必要性を個別に確認し、サービスの必要性を判断する二段階の運用が重要だと考えています。

記事執筆者 ReliOral 富田

執筆富田株式会社ReliOral 代表/歯科衛生士

介護施設への訪問口腔ケアと、口腔機能向上加算の導入・運用支援に携わっています。厚生労働省の一次資料と現場での運用を踏まえ、施設担当者が実務で参照しやすい情報を発信しています。

本記事は公開日時点の厚生労働省資料を基にした一般的な情報です。算定可否、届出、必要書類の取扱いはサービス種別や指定権者によって異なる場合があります。実際の算定前に、最新の告示・通知と所在地の指定権者へご確認ください。

参考資料

対象者の抽出と個別評価を、現場で回せる形に整えます

スクリーニングによる候補者の抽出から、口腔状態の評価、医療との切り分け、選定根拠の記録まで、施設スタッフが判断しやすい手順を一緒に作ります。

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対象者の選定・スクリーニングについてよくある質問

口腔機能向上加算の対象者チェックリストでは何を確認しますか?

認定調査票の嚥下・食事摂取・口腔清潔、基本チェックリストの口腔関連3項目、その他の口腔評価を確認します。該当者を候補として抽出した後、口腔状態、本人の意向、医療対応の必要性を個別に評価して対象者を判断します。

基本チェックリストで2項目に該当すれば必ず対象ですか?

2項目以上の該当は対象候補を抽出する基準の一つです。最終的には口腔状態を個別に評価し、口腔機能向上サービスが必要と認められるかを判断して記録します。

歯科治療中の利用者も対象にできますか?

歯科受診中という理由だけで一律に対象外とはなりませんが、摂食機能療法の算定状況や介護サービスとして行う内容との重複を確認する必要があります。必要に応じて主治の歯科医師等へ情報提供します。

本人がサービスを希望しない場合はどうしますか?

本人の意向を尊重し、サービス内容と目的を説明したうえで同意を確認します。拒否が続く場合は無理に対象とせず、理由や説明経過、日常ケアで行う対応を記録します。

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